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PRIMEQUESTで最大規模のHPC
従来の16倍もの大幅な性能向上を実現

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 導入の経緯 |  将来の展望 

導入の経緯

従来の16倍、8TFLOPSを達成

計算科学研究センターが新システムとして導入した超高速分子シミュレータは、PRIMEQUESTで構成する密結合演算サーバサブシステム、日本SGIのスーパーコンピュータ「Altix 4700」で構成する高速I/O演算サーバサブシステムからなり、2つのサブシステムを一体として運用している。2つのサブシステムはOSにLinuxを採用。理論ピーク性能はそれぞれ4TFLOPSで、あわせて8TFLOPS、メモリー容量は10.5Tバイト、ディスク容量は160Tバイトという大規模なシステムだ。2006年7月1日より稼動を始めた。

森田明弘
助教授
博士(理学)
分子科学研究所
計算科学研究センター

「2000年に運用を始めた旧システムは0.5TFLOPSですから、超高速分子シミュレータは単純に16倍の性能を実現しています」と計算科学研究センター助教授の森田明弘氏は評価した上で、次のように説明する。

今回の新システム導入で、ベクトル型CPUを搭載するスーパーコンピュータから、インテルのItaniumを搭載するスカラー型へのマイグレーションになったわけですが、その代わりに大幅な性能向上が実現できました。また、新システムは多くの研究者が共同利用するメイン・マシンになるので、汎用性の高さも重要です。センターのシステムは、日本の分子科学およびバイオサイエンス分野の研究者に広く利用されています。分子科学計算と一口に言っても、多様な計算方法が求められ、量子化学、分子動力学、固体電子論、統計力学、化学反応動力学など多岐にわたっていますから。これらのアプリケーションは、スカラー・プロセッサへの移植が進んでおり、また研究室レベルで所有している計算環境とスケーラビリティが確保される点を評価しています。」


水谷文保
技術班長
分子科学研究所
計算科学研究センター

計算科学研究センターの技術班長である水谷文保氏も「新システム導入を検討する際、デュアルコア版Itaniumがタイミングよく登場したことは幸運でした。利用者は倍増した性能を特に意識せずに利用できるようになり、CPUの能力アップの恩恵をそのまま享受できるのがスカラー型のSMP(対称型マルチプロセッサ)の大きなメリットですね。一方、以前のベクトル並列型システムの場合、性能をフルに引き出すには一種のテクニックが必要でしたが、新システムは特別なテクニックを必要とせずに演算性能を使うことが可能で、使い勝手の面からもメリットがあります」と語る。


640コアのHPCシステムを構成

2つのサブシステムのうち密結合演算サーバサブシステムは、PRIMEQUESTを32CPU/64コアのフル構成で10ノード、合計640コアで構成。PRIMEQUESTを使用したHPCシステムとしては最大規模のシステムとなる。各ノードについては、システム・ボード間を高速のクロスバーで接続し、高速なSMP並列処理を実現する。さらにノード間は毎秒16Gバイトのネットワークで結合し、分散並列とSMP並列をあわせた大規模なハイブリッド高速並列演算が可能だ

また、高速I/O演算サーバサブシステムのAltix 4700も同様にデュアルコアのItaniumを搭載、512コア+128コアの合計640コアで構成、最大6Tバイトの共有メモリーを使用できる。同システムも、富士通がPRIMEQUESTと合わせて受注し納入している。

このほか、データ保管用磁気ディスク装置、会話処理ノードはそれぞれ24TバイトのディスクアレイETERNUS3000とPRIMEQUEST 3ノードによって構成されている。

それぞれのシステムの使い分けについて、森田氏は「多くの計算を同時に処理する分子動力学シミュレーション(MD)などのジョブについては、高速なSMP並列処理や分散並列を得意としているPRIMEQUESTで構成された密結合演算サーバサブシステムが適していると考えています。一方、巨大メモリー空間を必要とする高精度の分子軌道法(MO)計算のジョブについては、最大6Tバイトの巨大な共有メモリー空間を利用でき、メモリー・バンド幅に匹敵するI/O性能を持ち巨大ファイル・システムを扱えるAltixで構成された高速I/O演算サーバサブシステムが適していると考えています」という。

水谷氏は「PRIMEQUESTを使用する複数のプロセスの並列処理などでは、パフォーマンスが劣化する要因となるプロセス間の処理を高速クロスバーがうまく解消してくれます。また、PRIMEQUESTはInfiniBandの規格をサポートしているため、プロセス間通信もInfiniBandを16本束ねて16Gバイト/秒と非常に広い帯域幅を確保し、高速クロスバーのスループットをうまく生かしていると思います。富士通は以前からInfiniBandを使用したPCクラスターの技術を積み重ねており、その技術とノウハウがPRIMEQUESTにフィードバックされ、高いパフォーマンスの実現に貢献していますね」と解説する。

将来の展望

不可能だった計算課題にも対応

2006年、計算科学研究センターが公募した利用課題の中で、センターの利用が認められた課題は約120。「これらの課題は計算規模によって、A課題、B課題、S課題に分類しています。S課題は新しい超高速分子シミュレータの稼働開始と同時に新設され、今年は3つがS課題に認定されました。一般的な課題は、1ジョブあたり超高速分子シミュレータのCPUの一部を数日間使用する程度のものがほとんどですが、S課題についてはPRIMEQUESTとAltixをフルに占有し、1カ月間ノンストップで連続稼働させることも視野に入れています」と岡崎氏。

「現在の計算環境でもかなりの負荷を要求するような大規模な計算課題は、以前の環境では対応できませんでした。超高速分子シミュレータによって、より広範かつ高度な課題に対応できるようになったのですから、分子科学計算の可能性を拡大するとともに、学術的発展にも大きく貢献すると期待しています」と語る。


【分子科学研究所様 概要】

名称 大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 分子科学研究所
岡崎共通研究施設 計算科学研究センター
設立 1977年5月
代表 センター長 岡崎進
所在地 愛知県岡崎市明大寺町字西郷中38番地
従業員数 12人
ホームページ http://ccinfo.ims.ac.jp/index.html

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