間接材購買システムを再構築
年間11億円のコスト削減が可能に
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導入の経緯
情報を一元管理するため、DWHの構築から着手
実際、間接材を購買する部門が分かれていたことで、業務プロセスは統一化されておらず、36に及ぶプロセスがあった。そのうち、手作業による購買も依然として11プロセス残っていたという。こうした問題を解消するため、富士通が最初に取り組んだのが間接材購買に関連する情報を一元管理して全体像を把握できるようにするためのDWH(データウェアハウス)を構築することであった。
「DWHの構築で、各部門に点在していた間接材購買データのコード体系などを統一、これによって部門を横断した購買管理や分析が可能となり、スケールメリットを活かした戦略的な調達や交渉を実現していくことを目指しました」(花岡氏)。
このDWH構築と同時に進めたのが、間接材購買に関わるシステムの見直しであった。間接材を購入する部門がそれぞれどのようなシステムを使っているか調査したところ、総務購買はオフコン、ネットワーク購買はメインフレームとUNIXサーバ、建設購買はPCサーバなどと、それぞれ独自にシステムを構築し、維持・運用をしているという非効率な実態が浮かび上がってきた。
間接材は製品の製造に直接関係ないため、コストに対して直接材ほど厳しい目が向けられてこなかった分野である。それだけに、全体としてのシステム戦略が統一されていなかった。加えて、古いハードウェアとソフトウェアの保守サポートの期限は1~2年後に切れることになっていた。こうした事情から富士通は間接材購買システムを全面的に刷新することに決めた。
間接材購買コストの見直しを機に2003年から本格的に始まった間接材購買システムの構築は、DWHの構築と並行して、2004年下期から具体的なシステム選定を進め、翌2005年夏に構築プロジェクトがスタートした。新しい間接材購買システムの中核として採用したのは、新製品として登場したばかりのPRIMEQUESTであった。
富士通は、メインフレームのGSシリーズ、UNIXサーバのPRIMEPOWERといった基幹システム向けの製品を数多くラインナップしており、これらの製品によって構築された基幹システムが社内に多数存在している。現在、GSシリーズで稼働しているシステムだけでも21に上るという。
技術、ノウハウという点からも実績がある製品ではなく、基幹系システムの1つである間接材購買システムの構築にあえて新製品のPRIMEQUESTを選択した理由について花岡氏は「これまでLinuxで本格的なミッションクリティカル・システムを構築した事例はほとんどありませんでしたが、当社の事業戦略を考えると実績作りとノウハウの蓄積が強く求められていました」と振り返る。
さらに花岡氏はこう続ける。「総務購買、ネットワーク購買のシステムは富士通のハード、ソフトで構築されていたため、たとえシステムとして旧式で対外的には保守サポートの期限が切れても、自社のシステムなので保守サポートを続行できるし、できるだけコストをかけずに済ませるつもりであれば、そうした選択も可能でした。しかし、将来のことを考えられないシステムの運用・保守を担当している従業員にとってモチベーションの低下は避けることはできません。その意味からも、新しいことにチャレンジする意義は少なくないと考えました」。
戦略的観点に立って3つの命題に挑戦
間接材購買システムの統合は、富士通にとってPRIMEQUESTによる社内基幹システム構築として初の案件となる。このため、PRIMEQUESTプロジェクト室をコーポレートIT推進本部内に設置し、事業部門から20人が異動して集中作業を行った。
このプロジェクトは重要な命題を与えられていた。「Linuxでミッションクリティカル・システムを構築し、TRIOLE構成でトランス・マイグレーション(基幹系システムの移行)をするという命題にあえて挑むことにしたのです」(花岡氏)。
新間接材購買システムは、PRIMEQUEST480を2台使用してクラスタ構成を採用している。OSにはRed Hat Enterprise Linux ASを採用、8つのパーティションに分割し、各パーティションには4CPUと16Gバイト・メモリを割り当て、DBサーバ、Webアプリケーション・サーバ、文書NAVIサーバ、運用管理サーバを搭載し、残りは開発用として使用する。今後のシステム拡張や他の基幹システムからの移行を考慮に入れた上で、あえて十分すぎるくらいのスペックを用意したという。なお、今回のシステムへの投資額はソフト開発だけで4億円に上る。
これまで個別システムで運用していた総務購買、ネットワーク購買、建設購買という3つの購買機能をPRIMEQUESTに統合し、業務プロセスを統一化(5プロセスに集約)するとともに、マニュアル購買のシステム化も行った。一方、大量の帳票を出力する帳票出力サーバ(PRIMERGY、Windows)と他の基幹システムとのデータ連携を担うシステム間連携サーバ(PRIMEPOWER、UNIX)については、その機能だけに特化しており、安定稼働をしていることからあえてそのまま残している。
将来の展望
購買機能とプロセスを統合
システム稼働の半年前倒し
構築プロジェクトは2005年夏にスタートし、並行して進んでいたDWH構築が同年10月に完了、間接材購買システムは2006年6月に稼働することができた。「旧来のCOBOLやC言語で記述された数多くのオンライン・アプリケーション資産をトランスマイグレーションする際には、Topjaxというフレームワークを活用することで開発作業を標準化し、これにより開発生産性を1.5倍に高めることができました。また、動作環境が保証されたTRIOLE構成を選択したことにより、構成設計が格段に早くなりました。その結果、当初は2006年末を予定していた新システムの稼働を約半年前倒することができたのです」と花岡氏はプロジェクトを振り返る。
従来システムの継承やバージョンアップではなく、Linuxで基幹システムをトランスマイグレーションするという挑戦が技術者のモチベーションの向上に好影響を与え、新システムの稼働を予定よりも早めたことも否定できないだろう。
「新間接材購買システムの構築では、間接材の調達コストの削減、調達総量の削減(適正化)、調達業務/運用コストの削減という3点を目指してきました。現時点では年約11億円の削減を目標としています。さらにグループ会社への展開を推進していくことで、一段と高い成果を出せるでしょう。業務面の期待効果である調達コストの削減だけでなく、運用面での効果も狙っています。前システムは各システムごとにOSが異なり、運用が全く違っていましたが、標準化により運用コストを大きく削減できる可能性があるからです」(花岡氏)。
また、今回実施したPRIMEQUESTによる間接材購買システムの刷新は、あくまでも社内基幹システム再構築のスタートラインに立ったにすぎないという認識を花岡氏は持っている。
今後の社内基幹システムはPRIMEQUESTが基本
「すでに公表しているように、今後、社内基幹システムの再構築はPRIMEQUESTを基本として、リファレンスモデルとしてお客様に紹介していく方針です。今回のプロジェクトのために設置したPRIMEQUESTプロジェクト室も、現在ではSOAプロジェクト室と名称を変更し、社内基幹システムの刷新によって蓄積したノウハウをソリューションにフィードバックするなど、PRIMEQUESTのさらに広い範囲への適用を推進していきます」(花岡氏)。
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導入の背景・システム概要
【富士通 概要】
| 名称 | 富士通 |
|---|---|
| 設立 | 1935年6月 |
| 代表 | 代表取締役社長 黒川博昭 |
| 所在地 | 東京都港区東新橋1-5-2 汐留シティセンター |
| 従業員数 | 3万6820人 |
| ホームページ | http://jp.fujitsu.com/ |
【富士通導入事例 サーバ統合による総保有コスト(TCO)の削減(PDF版)】
富士通の実践をケーススタディとして、サーバ統合による初期コスト、運用コストを含めた総保有コスト(TCO)削減効果をGartnerの手法を用いて測定、検証しました。
- PDF富士通導入事例 サーバ統合による総保有コスト(TCO)の削減 (1.11MB / 8ページ)
【導入事例(PDF版)印刷用】
- PDF導入事例 富士通 間接材購買システム (503KB / 2ページ)
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