専用のサーバルームがなくオフィス内にラック型サーバを設置しているお客様は、ラック型サーバの騒音に悩まされており、低騒音化に強い期待がありました。ラック型サーバはタワー型サーバに比べて、高密度な設置に耐え得るため、冷却には多くの風量を必要とします。
また、サーバ自身も高密度な構造となっているため、冷却ファンは小型かつ高回転になってしまいます。このように、ラック型サーバでは騒音源である冷却ファンの大きさや回転数の改善による低騒音化は難しく、オフィス設置には適していませんでした。これを解決するために開発したのが低騒音型スタンダードラック(以下、低騒音型ラック)です。
低騒音型ラックは、最大で約20dBの騒音低減効果があり、特に耳障りな高音域の騒音を大幅にカットします。専用のサーバルームの確保が難しいなど、オフィス内にてラック型サーバを設置する場合に適しています。
単純に騒音値を低減するだけでなく、人の体感にも配慮しています。一般に、人間が耳障りに感じる音というのは、周波数2kHz以上と言われています。低騒音型ラックは周波数の高い音に対して静音の効果が高く、この周波数2kHz以上の音を大幅に抑えることができます。

低騒音型ラックでは、遮音性能の高い素材で周囲を密閉することで、音の漏洩を防いでいます。外部への音の漏洩を防ぐための構造など、低騒音型ラックの優れた遮音構造は特許にもなっています。
扉とラック筐体の隙間からの漏洩を防ぐためのパッキンは、ラック筐体側だけでなく扉側にも取り付けられています。この二重化パッキン構造は、扉とラック筐体の接触面積を2倍以上に増加させ、隙間からの音の漏洩を遮断します。また、扉とラック筐体の両側からパッキンを取り付けることにより、音の通路はクランク型になるため、音を直接外部に漏洩させない効果があります。

遮音効果によって行き場を失った音のエネルギーは搭載サーバの熱を放出するための通気孔に集中します。低騒音型ラックは、吸音効果の高いダクトを通気孔に取り付けることにより、この音の漏洩を最大20dB低減させることができます。このダクトでは、主に吸音ダクトとエルボ構造によって高い静音効果を実現しています。
吸音ダクトでは、内壁に取り付けられた吸音材によって、ダクトを通過する騒音を低減します。吸音効果はダクトの長さに比例して大きくなり、1mあたり約10dBです。さらに、低騒音型ラックの吸音ダクトは、ダクト内部にスプリッタ構造を取り付けることによって、高い吸音効果を実現しています。低騒音型ラックのダクトは約60cmあり、騒音を約12dB低減します。
吸音材は、垂直に衝突する音を最もよく吸収する性質を持っています。エルボ構造と呼ばれるダクトの出入口は直角になっており、吸音材に対して音を垂直に進入させて騒音を約3dB吸収することができます。

吸音ダクトは、音の漏洩を低減させるために従来のスタンダードラックに比べて開口率を最小限にしています。そのため、サーバに内蔵されている冷却ファンでは充分な空気循環ができずに熱がこもってしまいます。前後の扉に取り付けられたファンは、冷却に必要な風量を確保し、従来のラック同様の環境を提供しています。
ファンの搭載台数や搭載の方向(縦・横)、サーバの搭載条件、吸排出の流路形状、スプリッタの形状、また、ファン故障の際のサーバの温度上昇など、サーバの実装試験と共に多数の流体解析シミュレーションを行って検証しています。
このシミュレーション結果に基づき、低騒音型ラックはサーバの最適環境を提供できる構造になっています。
低騒音型ラックは、静音の効果があるだけでなく、耐震強度も備えています。扉に静音構造を持たせた低騒音型ラックでは、高剛性ヒンジの採用、位置決めピンによる扉の固定、パッキンと凸構造による扉の固定など、ラック筐体と扉の固定方法を新たに設計することで扉への振動負荷を最小限に押さえ、震度5強の地震にも耐える構造を実現しています。